郷土の本の紹介


わたし琵琶湖の漁師です /戸田 直弘

 ゴム長靴を革靴に履き替えた青年漁師が、環境問題もブラックバスなどの外来魚の脅威も魚がいちばん知っている! と環境会議で語った。毎日の漁で見た現実が、名だたる学者、研究者たちの胸に響いた。
 何億匹かわからないほどに増殖し続けるブラックバスとブルーギル、そして新たな外来魚。一方で絶滅の危機に瀕している琵琶湖固有の魚たちという現実に向かい合いながら毎日何を思い漁を続けているのだろうか?
 自然と共に生きる智恵と愉しみに溢れた本。

光文社新書/本体680円 2002/01/20発行

里山を歩こう /今森 光彦

 人が耕し、採り、憩う。動植物が飛び、泳ぎ、実る。
そんな人と生物の共有空間が里山だ。琵琶湖周辺の里山を撮りつづけてきた写真家今森さんが、カメラ片手に、とっておきの風景を案内してくれる。
 棚田、雑木林、溜め池、川の風景と、そこに棲む生物たち。古い集落にのこる伝統の食や祭り。押し寄せる開発の波。
こんな視線でウォッチングすれば楽しい!


岩波ジュニア新書/本体980円
 2002/06/20発行

改訂滋賀県 地学のガイド(上)・(下)
  /滋賀県高等学校理科教育研究会地学部会 編

 近江盆地の地質のおいたちを述べたあと,県内の地学めぐりでコース別にガイド。
上巻は湖西と湖南地域。1988年の野洲川の足跡化石の発見,1993年のアケボノ象の全身骨格の発掘等,近年の話題も盛り込んだ改訂版。


コロナ社/本体1500円 2002/02/18改訂版発行

近江日野 綿向神社の四季
  /文 社 信之  写真 吉野 晴朗

一月元旦の大戸開きから十二月晦日の大祓いまでの綿向神社の主な年中行事が、吉野晴朗氏によって綿密にしかも見事な写真が収録されている。

東方出版/本体3000円 2002/05/25発行


博物館を楽しむ 琵琶湖博物館ものがたり /川那部 浩哉

展示物をへだてるガラスの壁は略され、来館者は生きた魚に触れ、昔の座敷に上がり当時の暮しを体験する。多くの催しに参加し、活動は館外に及ぶ。琵琶湖博物館の掲げる数々の新しい理念の実現に向けて、関係者はどのような議論をし、困難を乗り越えてきたのだろうか。その創設の生きたドラマを通し、現代の博物館活動の深い理解とその楽しみ方をガイド。

岩波ジュニア新書/本体740円 2000/10/20発行